オメガの貢献

ソーラーインパルスのメインパートナーとして、オメガはこのプロジェクトへの財政的支援のほか、技術分野においても数々の重要な貢献をしています。

パフォーマンス シミュレーションおよびテストシステム(テストベンチ)

2007年、ソーラーインパルスチームとオメガは、このプロジェクトのためのパフォーマンス シミュレーションおよびテストシステム(テストベンチ)の開発を発表しました。この電気機械システムにより、ソーラーインパルス開発チームは、製作開始前の構想段階においてすべての電気系統のシミュレーションおよびテストを実施できるようになりました。その結果を参照に、通常の環境下および-40度~+55度の気温条件における、太陽電池からモーターへの効率的なエネルギー供給やモーターのパフォーマンスが決定されます。テストではバッテリーの容量や航空機制御のパフォーマンスも測定されます。

ユニークな航空機のユニークな挑戦

ソーラーインパルスのような航空機の創作には、ユニークな挑戦が付き物です。太陽光だけをエネルギー源として地球を一周するために設計された完成機は、試作機と同様に、サイズと重量の不均衡のために飛行エリアを予測できないという状況にあります。

巨大な翼幅、超軽量の機体

試作機の翼幅は63メートル、重量は1700kg です。ほぼ同じ翼幅を持つエアバスA340と比較した場合、その離陸重量は200倍以上にもなります。

ソーラーインパルスは巨大な翼幅と比較的短い機体を有するため、横方向および進路方向の安定性に問題が生じます。機体の向きに影響を受けて飛行針路が大きく変化する可能性があるのです。さらに、同機の速度は時速55kmと低速なため、滑走路上での横風に弱いという特徴もあります。

オメガの計器:飛行経路と横方向の揺れを表示

このような要素を考慮に入れ、宇宙飛行士であり、スイス航空業界の伝説的存在であるクロード・ニコリエがオメガの計器をデザインしました。その計器とは、ライトバーにより表示される真針路(飛行経路)または横方向の揺れを示す水平スケール、翼の角度を示す2本の垂直スケールです。

これらのライトバーは極めて正確であり、瞬時に反応します。また、読み取りが容易であり、パイロットが必要な調整を施すことも簡単です。しかし、ソーラーインパルスの性質とそのユニークな使命ゆえ、パイロットの安全確保のためにいくつかの追加機能が必要になりました。

袖の振動装置:パイロットの見落としや疲労をカバー

オメガの計器はパイロットにとって非常に使いやすく、読み取りやすい設計になっています。しかし、他の作業に専念するあまりライトに気づかない場合もあります。パイロットは基本的に数日単位で飛行シフトを組みます。そのため、彼らは飛行中に機内で眠ることとなり、長期の飛行時間に起因する疲労というリスクも抱えています。

この問題に対処するため、パイロットの飛行スーツの袖に着用する振動アラーム装置が活用されます。これは、通常の数値を超過した場合に迅速に反応します。例えば、もし翼が右側に傾きすぎた場合、右袖の装置が振動し、翼の傾きを左側に調整するようにパイロットに知らせます。

オメガのエンジニアが開発したこの振動装置は、いくつかの要素に対応しています。この装置は天候に左右されず、-40度~ 50度の気温および海抜9000メートルまでの高度で正常に作動します。人間工学的な観点から見ると、パイロットの腕に最長5日間連続着用できる十分なフィット感を備えながらも、違和感を与えない軽さが特徴です。電子的な干渉に対しても優れた抵抗力を発揮するように設計されています。

それぞれの袖には、携帯電話に搭載されているものと同種の振動装置が4個設置されています。つまり、腕の周囲で振動を感じる仕組です。ひとつの振動装置が故障しても、その他の装置が作動し続けます。

現在、片方の翼が5度下降するとこの機能が起動され振動し始めますが、ソーラーインパルスチームが別の角度が必要だと判断した場合には、設定を変更することが可能です。

オメガのソーラーインパルス 着陸ライトシステム

オメガはソーラーインパルス プロジェクトのためにテストベンチを提供しましたが、その後もさらなる技術的貢献の可能性を検討しました。エンジニアたちは着陸ライトシステムの提供を望みましたが、それには特異な課題がありました。ソーラーインパルス プロジェクトチームから、着陸ライトシステムの重量は2kgを超えてはならないとの制限があったのです!

努力の末、オメガチームは驚くべき「電力重量比」を提供するシステムを完成させました。各翼に一連の着陸用LEDライトが設置され、その光は対応するレンズにより増幅されるようになっています。さらに、各翼に沿って「プロモーション目的」の装飾用ライトも配置されました。これらのライトはすべて、スウォッチの時計に使用されている素材と同じ弾性プラスチック製のきわめて丈夫なウィンドウにより保護されています。着陸用および装飾用ライト、保護用ウィンドウ、電力変圧器およびコネクタ、ワイヤなどを合わせた総重量は約1.998kg です。

結果的に、ソーラーインパルスの滑走路は明るく照らされ、パイロットの安全性も向上。装飾ライトにより、外観も非常に美しく仕上がっています。そして、これらすべての効果が2kg以下の重量に収められているのです。

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